
先日、友人と犬吠埼の写真のことで話をしていたら、「犬吠埼は君ヶ浜から見るのが表で、反対側(南)から見るのは裏なんだそうです」と聞かされた。
たしかに観光協会なんかは君ヶ浜方向からの犬吠埼をポスターなどの図案に使うことが多い。でも、一体誰が、いつからそんなことを定説であるかのように言うようになったんだろう?俺に断りもなしに、なーんてことは言わない。
で、ちょっと思った。
「そもそも順光で犬吠埼の断崖と白亜の灯台が映える南側からの景色が常識的な『表』のはずだけど、逆側(北)が表化した原因は、ホテルや土産物屋など、絵画や写真に邪魔なものが南側からの景色に目立つようになったからじゃないのか?」と。絵画や写真愛好家にとって犬吠埼を描くとき、ホテルの建物などを避けた構図にするのはもっぱら常識である。
犬吠埼がいまのような妙な景色になった大きな要因として、外部資本の京成ホテル進出がある。当時、地元の有識者の中には建物の規模と立地に関して、景観破壊になることを危惧して撤回を求める考えの方がいたと聞いている。今にして思えば先見の明ありだ。
結果として京成ホテルは規模・立地とも大きな変更なく現在地に建設された。そしてこれに対抗するように地元資本の観光業界も建物の大規模化、高層化に着手することになり、本来は訪れる者を楽しませてくれる変化に富んだ犬吠埼周辺の海岸風景が、無粋なホテル群によって台無しにされてしまった。
土地の文化や伝統、価値観を共有しない外部資本が、儲けだけのために進出すると結局こういうことになってしまうのかも知れない。地元にとっては一定の刺激になったのは事実としても、私的な競争の中で失われてしまったものも大きいと言わざるを得ない。

せっかくの景色なのに、観光客の視界を遮って商売しようとする感覚ってどうなのかね?





